あるベテラン講師のつぶやき

最近、学習塾や予備校が変わってきている。塾の先生や講師が授業をしない。
その代わり、授業は本部から配信されてくる録画済みの映像で行われる。
生徒たちは各々モニターに向かい「授業」を試聴する。まさに、ITを活用した新時代の方式である。

それでは職員は何をするかというと、生徒の出入りのたびに校舎の外に並んで送り迎えをしたり、たいして読まれもしないようなプリント類を作成して、保護者に対し「自分たちは頑張っています」アピールをするのだ。

一応、生徒個人の進行具合や成績なども管理しているが、あくまで単なる事務職員的なものだ。
確かに、経営している会社としてはどこでも均一な授業を提供でき、人件費も節約できるのでコスト的にも効率のいい方法だろう。
IT機材さえ揃えておけば講師の研修や時間割に合わせた手配といったことも必要ない。

しかし、映像を見るだけの授業など落語のスタジオ録音のような白々しさを感じてしまう。講師がある程度の実力を備えている必要はあるが、たとえ差異があっても講師それぞれに展開される授業には個性があり、直にコミュニケーションを取れる暖かさがある。

そして、不思議なのはこういった形式の塾や予備校が増えていることだ。
単に費用などの点で親から選ばれているのかもしれないが、配信授業を受ける生徒はどう思っているのだろう。
生まれたときから携帯があるようなIT世代の感覚として、本人たちがそれを面白いと思っているのか、そういう魂のないものを不自然に感じないどころか、有難がっているような世代に一抹の薄気味悪さを感じる。

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